レアアース 価格上昇

レアアース価格上昇 車・風力発電向け
中国がけん引、輸出制限の懸念なお

 

 

 

 
レアアースのテルビウム、ネオジムなどを使った磁石製品

レアアーステルビウムネオジムなどを使った磁石製品

 

自動車などのモーター用磁石に使うレアアース(希土類)の取引価格が上昇している。磁石の耐熱性を高めるテルビウムは7年8カ月ぶりの高値圏にある。レアアースの一大生産地・消費地の中国ではコロナ禍から経済が正常化に向かい、電気自動車(EV)や風力発電などに使うモーターの生産が増えている。

モーターの性能を左右する高性能磁石に必要なレアアースの中でも、特に価格上昇が目立つのがテルビウムだ。中国市場の酸化テルビウムの12月上旬のスポット(随意契約)価格は1キログラム955ドル近辺と、2013年4月以来の高値圏にある。同じく磁石に使うネオジムは1キロ78ドル近辺。17年10月以来3年2カ月ぶりの水準だ。

 

相場を押し上げているのは中国の需要増だ。

アイアールユニバース(東京・中央)の棚町裕次社長は「EVや家電向けに加え、今年は電動自転車向けの需要が急増している」と指摘する。

中国政府はコロナ感染防止を目的に「バスや地下鉄などの公共交通機関を避けて電動自転車を推奨している」という。

自転車の動力を支えるモーターの小型軽量化にレアアースを使う。

風力発電用モーターの生産も勢いづく。

19年には世界で風力発電所が6万350メガワット分ほど新設されたが、その4割強を中国が占める。習近平(シー・ジンピン)国家主席は9月に「30年までに二酸化炭素(CO2)排出量をピークアウトさせ、60年より前に実質ゼロになるよう努める」と表明した。今後も風力発電の普及が加速する見通しだ。

テルビウムは「他のレアアースに比べて耐熱効果が高いため、中国企業が購入を増やしている」(商社)。

専門商社サムウッド(東京・千代田)の川崎豊副社長は「需要に生産が間に合わず需給が逼迫している」と話す。

11月以降、中国経済の堅調な回復を示す統計が相次ぎ、ロンドン金属取引所(LME)の非鉄相場は軒並み高値圏にある。

非鉄を物色する一環でレアアースも価格水準を切り上げている側面がある。

中国はレアアースの生産量でも世界の6割強を握る。

中国で戦略物資などの輸出管理を強化する輸出管理法が1日に施行された。現時点で対象品目にレアアースは含まれていないが「今後、含まれるのでは」といった懸念はくすぶる。

中国リスクに備え、日本は調達先をマレーシアなどに広げて備蓄も進めてきた。今のところ「企業から調達の不安を訴える相談は来ていない」(政府関係者)という。川崎副社長も「レアアースを買い急ぐ動きは起きていない」と強調している。

                  日本経済新聞